契約夫婦を解消したはずなのに、凄腕パイロットは私を捕らえて離さない

 離陸中は、ひとりひとりに仕事が任されている。私はあの時、ドリンクサービスを終えて片づけをした後、客席に戻って用事や困りごとなどお客様の様々な要望に対応をしなければならなかった。

 チーフパーサーの言う通りだ。お客様はひとりじゃないという当たり前のことも見過ごしてしまっていた。

 深く反省する中、チーフパーサーはそっと私の肩を叩いて目を細めた。

「ですが、鮎川さんのおかげであのお客様は満足のいくサービスを受けることができました。私があの場に駆けつけたら、間違いなくあなたに応対をお願いしていたでしょう。よくやりましたね」

「チーフ……」

 言葉が続かずにいると、チーフパーサーは表情を引き締める。

「今後、不測の事態が起きた場合は必ず上の支持を仰いでから行動してください。あなたひとりの行動が多くのお客様に影響することを常に忘れないように」

「はい」

 感情の赴くままに行動することは、二度とないようにしよう。

「そして金城さん」

 次にチーフパーサーは金城さんに厳しい口調で言った。