契約夫婦を解消したはずなのに、凄腕パイロットは私を捕らえて離さない

「ありがとう。今後もまた利用させてもらうよ。キミがいたらすぐに声をかけさせてくれ」

「はい、お気軽にお声掛けください。またお待ちしております」

 よかった、無事に解決することができて。

 胸を撫で下ろした時、慌ててチーフパーサーがやってきて大まかな事情を説明し、再度謝罪をした。最後にはお客様にも笑顔が見られ、私たちは通常業務に戻った。

 そして無事に着陸し、すべてのお客様を見送った後、私と金城さんはチーフパーサーに呼ばれた。そこで詳しく事の経緯を説明する。

「そういうことだったのね」

 私と金城さんの話を聞き、チーフパーサーは深いため息を漏らした。

「まず鮎川さん。今回は丸く収まったからよかったものの、事情を知らぬままむやみにお客様の対応に当たるものではありません。あなたにはあなたの役割があります。鮎川さんまで金城さんと一緒にクレーム対応に入ってしまったら、あなたがサービスを提供するべきお客様をないがしろにしているも同然です」

「……はい、申し訳ございませんでした」

 さっきはイタリア語を話せる自分が仲裁に入るべきだと思っていたけど、チーフパーサーに言われて浅はかだったと気づく。