契約夫婦を解消したはずなのに、凄腕パイロットは私を捕らえて離さない

 そう言いながらお客様は厳しい表情のまま、自分の指に絆創膏を巻いた。

「だが、そこの女性にも非がある。客は皆、平等に接するべきだ。どんな関係か知らんが、ひとりの客に特別対応するべきではない」

「はい、おっしゃる通りでございます」

 厳しい叱咤に私は深く頭を下げた。

 金城さんが対応していたのは、いつもファーストクラスをご利用されているVIPだとしても、それは他のお客様には関係のないこと。

 エコノミークラスに搭乗された以上、過度なサービスは控えるべきだったはず。

「きっと不快に思っているのは私だけではないだろう。今後はこのようなことがないようにしてほしい」

「はい。この度は大変申し訳ございませんでした」

 心から謝罪すると、お客様の表情が和らいだ。

「わかってくれたならいい。今日は急な欠航便が相次ぎ、満席で忙しい中に騒いですまなかった」

「そんなっ……! こちらこそこの度は申し訳ございませんでした」

 もう一度大きく頭を下げて謝罪をすると、隣にいた金城さんも続いて頭を下げた。