ドキドキしていることに気づかれないように平静を装って言ったけど、きっと一生誠吾さんのことを忘れることはできないと思う。それほど私の人生を大きく左右した人だから。
「だったら初日に声をかけた時、久しぶりって言ってくれればよかったのに。普通に初めてのように言葉を返されたから忘れられているとばかり思っていたよ」
「それを言ったら誠吾さんもじゃないですか。まるで本当に初めましてのように話してきたんですから。誠吾さんが覚えていないなら、知らないフリをするべきだと思ったんです」
チラッと彼の左手薬指にはめられている指輪を見る。
「そのほうが誠吾さんのためだと思いました」
「なんで?」
意味がわからないと言うように首を傾げる誠吾さんに、苛立ちが募る。
「堂々と結婚指輪をつけている人に、元妻の立場から気軽に声なんてかけられるわけがないじゃないですか。……噂ではとっても愛妻家だって聞いたので」
最後は声が小さくなってしまったものの、誠吾さんの耳にはしっかり届いたようで目を瞬かせた。
「なんですか、その顔は。噂は事実ですよね? 現に結婚指輪をしていますし。……再婚、したんですよね?」
誠吾さんがあまりに驚くものだから、こっちも変な焦りが生じてしまう。
「あぁ、この指輪か」
やっと理解したようで、誠吾さんは左手薬指にはめてある指輪を外して私に差し出した。
「だったら初日に声をかけた時、久しぶりって言ってくれればよかったのに。普通に初めてのように言葉を返されたから忘れられているとばかり思っていたよ」
「それを言ったら誠吾さんもじゃないですか。まるで本当に初めましてのように話してきたんですから。誠吾さんが覚えていないなら、知らないフリをするべきだと思ったんです」
チラッと彼の左手薬指にはめられている指輪を見る。
「そのほうが誠吾さんのためだと思いました」
「なんで?」
意味がわからないと言うように首を傾げる誠吾さんに、苛立ちが募る。
「堂々と結婚指輪をつけている人に、元妻の立場から気軽に声なんてかけられるわけがないじゃないですか。……噂ではとっても愛妻家だって聞いたので」
最後は声が小さくなってしまったものの、誠吾さんの耳にはしっかり届いたようで目を瞬かせた。
「なんですか、その顔は。噂は事実ですよね? 現に結婚指輪をしていますし。……再婚、したんですよね?」
誠吾さんがあまりに驚くものだから、こっちも変な焦りが生じてしまう。
「あぁ、この指輪か」
やっと理解したようで、誠吾さんは左手薬指にはめてある指輪を外して私に差し出した。



