契約夫婦を解消したはずなのに、凄腕パイロットは私を捕らえて離さない

 すぐには信じることができずにいる中、母は続ける。

『嘘を言ったって仕方がないでしょ? 本当よ。凪咲が第一希望の大学に合格した時も資格を取得した時も、そして今の会社の内定が出たと報告した時も、すごく喜んでいたわ。凪咲が夢を叶え、私たちの生活も安定していると十分に理解してくれて、今後は連絡を控えるって言っていたから、そろそろ凪咲にも話してもいいと思って』

「そう、だったんだ」

 ふと、最後に誠吾さんに「絶対に夢を叶えろよ」って言われた言葉が頭をよぎる。
 それまで彼はずっと私のことを見守ってくれていたんだ。

 熱い思いが胸に込み上がる。

『凪咲には苦労をたくさんかけたわね。だけど真田さんとの出会いにお母さんはとても救われたの。彼のおかげで凪咲は夢を叶えることができたのだから。これからは好きな仕事をして心から愛する人を見つけ、その人と幸せになってほしい。それがお母さんから凪咲へのたったひとつのお願いよ』

「……うん、わかった」

 母の思いに涙が零れそうになり、そっと目を拭った。

「じゃあ私からもお願い。お母さんも幸せな第二の人生を過ごしてほしい。あ、もちろん再婚してもいいからね! お母さんの人生は、お母さんだけのものなんだから」