契約夫婦を解消したはずなのに、凄腕パイロットは私を捕らえて離さない

『仕事はどう? そろそろ慣れてきた?』

「うん、どうにか。お母さんは変わりない?」

『えぇ、ひとり暮らしを満喫しているわ』

 冗談交じりに言う母にクスリと笑みが零れる。

 両親の離婚が成立後、母の故郷で再スタートを切った私たちは誠吾さんのサポートのおかげで、なに不自由ない生活を送ることができた。

 母もすぐに職を見つけ、私も無事に近隣の大学に合格。誠吾さんのおかげで心穏やかな毎日を過ごせた。

『今日、凪咲から荷物が届いてびっくりしちゃった。……お財布、ありがとうね』

「どういたしまして。この前、初めてお給料をもらったから、記念になにかお母さんにプレゼントしたかったんだ」

『本当にありがとう、嬉しかったわ。大切に使わせてもらう』

 母の話を聞いて嬉しい気持ちでいっぱいになる。

 父と離婚してからというもの、母はこれまで以上に頑張ってきた。もしかしたら私に契約とはいえ、結婚させたことに負い目を感じていたのかもしれない。