契約夫婦を解消したはずなのに、凄腕パイロットは私を捕らえて離さない

「エコノミーにいた双子ちゃん見た? すっごい可愛かったよ」

「えぇー、見たかったな」

 楽しそうに話をする金城さんたちから二、三歩後ろからついていく。

 嫌がらせやきつく当たられることはなかったけど、こうも空気同然の扱いも悲しくなる。気にしないと決めたものの、これがいつまでも続くのはやっぱりきつい。

 そのうち噂がなくなり、以前のように先輩たちと普通に話せる日がくるといいな。

 楽しそうに話す先輩たちの姿を見ながら歩を進めていると、空港のロビーに差し掛かったところで急に金城さんが足を止めた。

 先輩たちが驚く中、金城さんは振り返り私を見る。

「鮎川さん」

「は、はい」

 笑顔で声をかけられ、心臓が飛び跳ねる。

 どうして金城さんは急に私に話しかけてきたんだろう。こんなに大勢の人がいる空港内でなにか言われる? さすがにそんなことはしてこないと思うけど……。

 彼女の真意がわからないから怖い。身構える中、金城さんはロビーの一画を指さした。

「ずっと私たちの様子を窺っている男性、あなたの父親じゃない?」

「えっ?」

 言われるがまま金城さんが指さす方向に目を向けると、そこにはスーツに身を包んだ父の姿があり目を見開く。