「久しぶり、凪咲ちゃん! 元気だった? あぁ、こんなに可愛くなって!」

 笑顔で駆け寄ってくると、篤さんは私の両手を掴み、上下にブンブンと振った。

「お、お久しぶりです」

 篤さんも大人の男性になっているけど、まるで犬のような人懐っこい性格は変わっていないようだ。

「おい、そこまでにしとけ。凪咲が困っているだろ?」

 誠吾さんは篤さんの手を払いのけ、ジロリと睨む。

「いいじゃないか、やっと再会できたんだから。だけどなに? こうして夜遅くに自宅に招くってことは、ふたりってば元サヤに戻ったわけ?」

 期待した目で私と誠吾さんを交互に見る篤さんに困惑してしまう。また誠吾さんと家族になれたらどんなに嬉しいか。

 でも今は想いを伝えるべきじゃないよね。まずは父のことを解決するべきだ。それなのに、篤さんがタイミングよく来てくれなかったら、危うく告白するところだった。