契約夫婦を解消したはずなのに、凄腕パイロットは私を捕らえて離さない

 せっかく新たな人生を歩み始めたのに、父と再会してしまったらすべて台無しになる。

 不安に駆られる私に対し、誠吾さんは優しい声色で言った。

「大丈夫、こうなった時のために離婚の際に二度と凪咲と母親に会わないと誓約書を書かせておいたんだ。すでに父親は誓約を破ったどころか、凪咲にお金を要求したんだ、罪に問えるレベルだ。だからなにがあっても凪咲と母親は法が守ってくれる」

 誠吾さんは私を安心させるように、さらに強い力で手を握りしめる。

「明日にでも離婚の際に世話になった弁護士に相談してみるよ。近いうちに弁護士に同席してもらい、決着をつけよう。その時はもちろん俺もついていくから」

「誠吾さん……」

 誠吾さんの優しさに触れ、また泣きそうになってしまう。

「ありがとう、ございますっ」

 震える声で伝え、彼の服の裾をギュッと掴んだ。

「お礼を言われることじゃない。俺はただ、凪咲にはいつも笑っていてほしいだけだよ。だからもう泣かないでくれ」

 無理だよ、こうやって優しくされたら涙が勝手に溢れてくる。

「どうして誠吾さんはこんなに優しいんですか?」