契約夫婦を解消したはずなのに、凄腕パイロットは私を捕らえて離さない

 それが今の私にとって最善の策。そう思うのに、大好きな仕事を辞め、真琴や誠吾さんとも二度と会えなくなるかもしれないと思うと、胸が痛んで仕方がなかった。

 
つらい午後の勤務も終え、控室で先輩たちと顔を合わせたくなくて、私は遅くまで事務作業をしていた。

 ここでもやはり白い目では見られるけど、職場だし表立ってなにかを言われることはなかった。

 最終便も到着してオフィスに誰もいなくなった頃、デスク周りを片づけた。静かな廊下を進み、控室へと向かう。

 そっと扉を開けると誰もいなくて胸を撫で下ろした。

 急いで着替えを済ませ、ロッカーのドアを閉めた。するとバッグに入れてあるスマホが鳴る。

 昨日の今日で父が連絡をしてきたのかもしれないと思い、恐る恐る相手を確認すると真琴からだった。

 どうしたんだろう、こんな時間に電話なんて。もしかして誰かから私の噂を聞いた?

 出ることに躊躇するも、いづれは真琴の耳に入ること。それに自分の口からちゃんと説明したい。

 真琴がどんな出方にでるかわからないから怖いけど、ずっと逃げ続けることはできないと腹を括って電話に出た。