契約夫婦を解消したはずなのに、凄腕パイロットは私を捕らえて離さない

 でもそれも時間の問題。きっと明日には知られてしまうだろう。それはもちろん、誠吾さんにも……。

 大切なふたりがもしかしたら離れていくかもしれないと思うと、胸が張り裂けそうなほど痛みだす。

 こうなってしまった以上、早く辞めるべきなのかもしれない。噂が事実な以上、父が再び空港に押しかけてきて会社に迷惑をかける場合もある。

 それにこれから先、会社の人たちに今日のような態度を取り続けられたら耐えられないし、お客様の前で笑顔を見せられる自信もないもの。

 真琴も誠吾さんも私から離れていったら、ますますここで働くことなどできないよ。

 少しの時間だったけど、夢が叶ったんだ。どん底の人生から夢のような時間を過ごすことができた。

 それだけで幸せだと思い、誰かに迷惑をかける前に去るべきなのかも。

「違う仕事に就いて、親孝行をしながらお母さんとふたりで暮らすのも悪くないよね」

 幸いなことに父にはまだ母の居場所を知られていないし、早く退職してしまえば会うこともなくなる。