父はあと二週間で地方へ戻る。一応仕事は真面目に続けているようだし、ギャンブルや贅沢をしなければ、絶対に暮らせる分のお金をもらえているはず。

 それなのに私に要求してくるということは、きっとまだギャンブルやお酒を止めることができていないのかもしれない。
 それに貸してと言っていたけど、間違いなく返す気などないだろう。

 さっきのメッセージを読んで諦めてくれて、おとなしく地方に帰ってくれるといいな。

 帰りにスーパーに寄り、食材を買い込む。帰宅後、作り置きのおかずを作っていると、誠吾さんからメッセージが届いていたことに気づいた。

【今、オーストラリアに着いたよ。凪咲は今日休みだったよな? ゆっくり休めよ】

 何気ないメッセージに胸が熱くなる。それと同時に切なさで心が埋め尽くされていった。

 父と再会しなければ、誠吾さんに自分の気持ちを伝えるつもりだった。だけど父は昔からなにも変わっておらず、どんなにショックだったか……。

 たくさん父のことで力になり、励ましてくれた誠吾さんと会ったら、絶対に私は泣いてしまう自信がある。