契約夫婦を解消したはずなのに、凄腕パイロットは私を捕らえて離さない

 深々と頭を下げると館野キャプテンは「ブレないなぁ、鮎川ちゃんは」と言いながら、私に座るよう促した。

 私が座った隣に彼もまた腰を下ろし、なぜかニヤニヤしてこっちを見てくる。

「えっと、館野キャプテン?」

 いたたまれず声をかけると、彼のニヤニヤは増す。

「いやー、さっきの鮎川ちゃんから愛を感じたねぇ。離婚しても元夫への愛は冷めなかった?」

「なに、を言って……」

 待って、どういうこと? まさか館野キャプテンは私と誠吾さんが元夫婦だってことを知っている?

 変な汗が背中を伝う。言葉も出ず、ただ彼を見つめることしかできない。すると館野キャプテンは申し訳なさそうに眉尻を下げた。

「ごめんね、俺が無理やり真田から聞き出したんだ。だって気になるだろ? 今まで愛妻家だった男が、急にひとりの新人CAを気にかけだしたら」

 意味深な言葉にドキッとしてしまう。そんな私を見て館野キャプテンはクスリと笑った。