契約夫婦を解消したはずなのに、凄腕パイロットは私を捕らえて離さない

「さて、金城ちゃん。これに懲りてそろそろ真田を追いかけるのは止めたほうがよさそうだな。俺も鮎川ちゃんと同感。誰かを不幸にしてまで得た幸せなんて、本物じゃないぞ?」

「……っ! 失礼します」

 館野キャプテンに小声で言われた金城さんは顔を真っ赤にさせ、早々と去っていく。

「あ、ちょっと満里奈待ってよ」

「すみません、館野キャプテン失礼します」

 ふたりの先輩は金城さんのお盆も片づけながら一礼し、後を追いかけていった。

「まったく、真田も厄介な女に気に入られたものだ」

 呆れながら言った館野キャプテンは、呆気にとられている私と目が合うと満面の笑顔を見せた。

「さっきの俺、ピンチに現れたヒーローみたいだったでしょ? もしかして鮎川ちゃん、俺に惚れちゃった?」

 通常運転の館野キャプテンに乾いた笑い声が漏れる。だけど彼が来てくれなかったら、大騒動となっていた。

「ヒーローみたいでしたが残念ながら惚れていません。……だけど助けてくださり、本当にありがとうございました」