契約夫婦を解消したはずなのに、凄腕パイロットは私を捕らえて離さない

「私より知らないでしょ? それなのによくも生意気な口を聞けたわね」

 相当怒っているようで金城さんは周りの目など気にすることなく声を荒らげた。

「ちょ、ちょっと満里奈」

 すかさず隣の席の先輩が立ち上がり、必死に金城さんを宥める。しかしその制止を金城さんは押し返した。

「あんなこと言われて黙ってなんていられるわけがないでしょ!? なに? ちょっと多くの国の言葉が話せるからって調子に乗ってんの?」

「そんなわけありません!」

 なんでそんなことを言えるの? 金城さんだって必死に勉強したんでしょ? 私だってそうだ。勉強して勉強して、そして少しずつ言葉を覚えていった。それなのに調子に乗っているなんて言われて悔しい。

 だけどそれは金城さんも同じだったようで、怒りで顔が歪み大きく手を振り上げた。

 殴られる! そう覚悟を決めて瞼と閉じた時。

「はい、ここまで」

 声が聞こえてきて目を開けると、私たちの間に入って金城さんの腕を掴む館野キャプテンの姿があった。