身も心も、満たしてくれるのは貴方だけなのに。

男性Aが、座っていた椅子から立ち上がり、こちらに近づいてくる。

「あ、はい。ユキです。」

「初めまして、黒田です。こちらへどうぞ。」

ワイシャツに、スラックスのスタイルで、仕事のできる営業マンって感じ。

見た目は30後半くらいかな?


奥の部屋に案内され、黒革のソファに腰を落とした。

「早速なんですけど、身分証と必要書類ありますか?」


鞄から言われたものを取り出し、提出した。

「ありがとうございます。」

黒田さんはそう言うと、事前に入力したテンプレの紙バージョンも記入してほしいと、ペンを渡してきた。

「じゃあ、向こうにいるんで、書き終わったら呼んでください。」

そう言って、ドアの向こうへと姿を消した。


渡された紙を眺める。