「ひ、人を殺した…」

コウは震え、認識した。

ただ…今までの生活から逃れたかっただけだった。

フェンスの向こうから見る…巨大なフィギュアは、すべてを壊し、自由をくれるように思えた。

しかし、それは…あくまでも、自分の生活だ。

人を殺してまでは、欲しくなかった。

「お、俺は…俺は、ひ、人を…」

心が、後悔と懺悔に包まれそうになった時…体を包む液体が動いた。

(なぜ…嘆く?)

そして、声が聞こえた。

いや、聞こえたではない。

頭に響いたのだ。

声が…。

女の声が…。







「大尉!」

オバマAB型の中にいたリサは、機体を反転させた。

「何!?」

撃ち合いをしていた芹奈は、標的がいきなり背を向けたことに驚いた。

「なめやがって!」

ビームマシンガンを、オバマに向けた瞬間、ガイの乗るオバマがミサイルを発射させた。

「リサ!大尉のところにいけ!チョンマゲは、俺が相手する」

無人であるスティルス戦闘機にの上に乗ると、ガイのオバマは足場を確保し、バズーカ砲とビームマシンガンを両手に持ち、二機のオバマに向けて引き金を弾いた。


「お願いします!」

リサは振り返ることなく、スティルス戦闘機とフィギュアのブースターを点火し、一気に戦域から離脱した。




「河村君?生きてる」

有馬の質問に、落下したブシの中で、河村は肩をすくめた。

「何とか」

「だったら、そいつのコアは回収してね。コアさえあれば、フィギュアは復元できるから」

有馬の鬼のような言葉にも、河村は息だけを吐くと、言葉を続けた。

「了解」

「いい返事ね」

にっと有馬は笑ってから、真剣な顔になり、目を細めた。

「河村君。オリジナルフィギュアと敵機は、活動を停止してるけど…それに近付く新たなフィギュアがいるわ」