ティアドール

「なめるな！」

河村はﾌﾞｰｽﾀｰを点火すると、機体を海面に激突するのを回避し、再び空中に飛び上がった。

「さすが、日本製！量産機でもいい反応だ」

ﾕｰﾃﾗｽの中で、満足気に頷いたが…無理やり指が抜けた為に、機体のﾀﾞﾒｰｼﾞは大きかった。

「海中で何が起こっている？」

河村は、海の中を覗き見た。



「ば、馬鹿な！あり得ん」

キラーのﾕｰﾃﾗｽ内で、マホメットは下唇を噛み締めた。

「あの機体は、仕様が変わるのか？まるで、人間が服を着替えるように」

マホメットの目に、手刀を作り、接近してくるｱﾙﾃﾐｽの姿が映る。

「しかしな！」

マホメットは口元を緩めた。

「こちらは！対フィギュア用の兵器だ！」

キラーの背中のバックパックから、無数の魚雷が放たれ、すべてｱﾙﾃﾐｽに着弾した。

「認めよう！水中戦では不利だ」

キラーは背中と両足に着いたﾌﾞｰｽﾀｰを点火し、一気に海上へと脱出した。

「な！」

「邪魔だ！」

そして、上空にいたﾌﾞｼに向けて、十本の伸ばした指を叩きつけた。

次の瞬間、ﾌﾞｼは機能を停止した。

「な、何が起こった!?」

ﾕｰﾃﾗｽ内で、ﾌﾞｼと接続していたすべての感覚がなくなった河村は、落下していくことだけを生身で感じていた。

「ﾁｯ！」

舌打ちしかできないﾕｰﾃﾗｽ内で、海に落下した衝撃を河村は数秒後に味わっていた。




「リサ！ガイ！作戦変更だ！当機はこれより、地上戦を移行する！」

マホメットは推進剤で、空中を疾走しながら、足場を探した。

そして、数百メートル先に、小島があることを確認した。

「ここならば！」

キラーは指を元の長さに戻すと、小島の土を抉るように、背中から着地した。

「来い！オリジナルフィギュアよ！」

バックで滑りながら、マホメットはバックパックからミサイルを連射した。