対日本…連合国家テラは、レクイエムによって破壊された国々の残党によって、結成されていた。


突如出現した未確認兵器…レクイエムは日本を征服後、数多くの国家や社会を破壊した。

そして、一定の人類を殺戮した後、攻撃を中止した。

人類を一定数まで抑えた…それが、理由だった。





それから数十年後。

テラのフィギュア部隊…第11部隊に所属していたフェーンは、日本のブシ部隊十五機を、たった1人で、撃墜した功績により、少佐へと異例の出世を遂げていた。

そして、撃墜したブシのコアを回収したテラは、新型のフィギュアに、そのコアを埋め込んだ。

日本がつくるコアの秘密を探る為と、その能力の高さを知っていたからだ。


新型フィギュア…ノアは、対日本軍の重要機密でもあった。



無機質な研究室に、インスタントコーヒ―の匂いだけだ浮いていた。

「各種…神経は順調に、侵食しているのかね」

白い軍服を着た男の質問に、癖毛をそのままにした赤毛の男は、くくくと笑って答えた。

「純…日本製ですからね。それくらいは、当然ですよよ」

赤毛の男がコーヒー片手に見守っているディスプレイには、新型であるノアの断面図と、心臓部に埋め込まれたコアから、伸びる無数の枝のようなものを映しだしていた。

それは、人間の全身に走る神経の図に酷似していた。

「…未だに、このコアだけは、理解できません。素晴らしさ以外は」

侵食とも言われるこの現象は、フィギュアの全身に走ることで、初めて稼働することができるのだ。

痛覚だけを抜いた神経の如く、まるで機械を人間のように動かすことができるようになる。

このシステムにより、機械の稼働方法は別次元へと進んだ。

鉄やシリコンにまで侵食し、神経や血管のようなものを構築する。その為、機械を組み立て、コードやチップを埋め込む必要はなくなった。

しかし、フィギュアの腕や足を人間のように動かす為には、鉄ではなく…肉のような物体を使わなければならなかった。

「思い出しますよ。国家という概念が滅んだ日を…。レクイエムは、まるで…巨大な人間のように見えた」

赤毛の男は目を細めた。