私の彼氏は冷たい。




「織(しき)く~ん?こっち向いて~?」



甘ったるい声をわざと出してみる。



「…………無理。」



私の大いなる勇気はそんな二文字で書き消された。




「ねぇ~織くんっ!どっか行こっ!」



さっきの声とは裏腹に元気な声で話しかけた。




「この時間帯じゃ、テーマパークもどこも開いてないって。」



結果、ド正論で返される始末。




私、夢見 花小はこの通り、彼氏の吉川 織くんを惑わせるのに絶賛奮闘中。




告白したのだって、好きになったのだって全部私から。


しょ、正直言うと………織くんが私のこと好きなのかは分からない………けど!


好きにさせるのは私の頑張り次第!


絶対好きにさせてやる~……っ!


「し、織くん……っ!


今日、お泊まり……しても……いい、かな?」


わざとモジモジしてみる。


するとようやく織くんはスマホから目を離し私の方を向いた。



「今日、親と姉ちゃんいるけど。」


そう言うとまたスマホの方に目を向ける。


……………でもでも!


ご両親も、お姉さんいるって………


私、ご挨拶出来ちゃう………っ?


いや、それをわざわざ私に言うってまさか織くん……………


「け、け、結、婚なんて……!!

織くんあまりに気が早すぎるよ……!


でも、織くんがしたいなら…………
いい、よ?」


頬をほんのり赤くさせてさっきのモジモジとは逆に半分食い付き気味の私。