春に笑って、君宿り。

***

「はなの、ポッキーゲームしよ?」

「わっ、私でよければっ!!」

「ええ、2人とも本当にやるの!?」

「池ちゃんも後でするんだよ?」

「ええっ!!」


新幹線の中できゃっきゃ騒ぐ私たち女子チーム。
男子2人は通路を挟んで手遊びをしてる。

ついに来てしまった、修学旅行の始まりが来てしまった。
今日から一週間、雪杜くんには会えない。

いやいや、楽しむって決めたんだし、いつまでもくよくよしない!!

気分が落ち込みそうになっては自分で自分を励ます。

……まさか、雪杜くんに会えないっていうのがこんなにも自分にとってダメージだと思わなくて、正直びっくりしてる。

いつか「重い」って真顔で言われそう。
いつか、じゃなくて、近いうちかもしれない。


「誰か~モバイルバッテリー持ってきてる人いない?」

「あ、私持ってるよ~!!」


遠くの席から聞こえてくる声に対して、手を挙げる


「わ、さすが花暖ちゃん!! ありがとう!!」

「いえいえ!! どうぞ使って!!」

「少し充電したら返すね!!」


ぺこりとお礼をして、自分の席に戻っていく友達。
うん、いいことした!!