春に笑って、君宿り。

はじめはバスに乗って帰って。
やっぱり、次のバス停まで歩こうって。
今度はその次まで歩こうって。その繰り返し。
そうやって、2人で歩く距離が長くなって。

今では家の前まで送ってくれるようになった。


「えへへ。毎日ラッキーアイテムつけてるからかな」

「ラッキーアイテム?」

「うん、星座占いなんだけどね。今日はくまのぬいぐるみ!!」

「へえ。何座なの」

「さそり座だよ。雪杜くんは?」

「内緒」

「ええっ!!」


そこ、内緒にする必要ある!? と口をとがらせて言えば、
ぷっと噴き出して笑った。

……うう、やっぱり笑ってくれると嬉しい……。


「うそ。みずがめ座」


やっぱり、最近笑ってくれることが増えたね。


「みずがめ座かあ!! じゃあ、明日から雪杜くんの占いも見てきてあげるね」

「いや、別にいい」

「なんでっ」


こんな他愛ない会話で笑ってくれるのが増えた。
君の笑顔の先に、笑顔の理由に。

私がいるのがなにより嬉しいよ。

「修学旅行、来週でしょ」

「え、うん」

「せっかくなんだし、楽しんで来なよ。羽目、外しすぎないようにね」

「うん!! 新撰組について少し勉強しておこうかなあ」

「いいかもね。何事も学ぶのはいいこと」

「……頭いい人が言うとずっしりくる」


会話なんて、絶えるわけなくて。

今日も変わらずに2人で一緒に帰った。


雪杜くんもこう言ってくれてることだし、
やっぱり楽しまなくちゃね、修学旅行!!