春に笑って、君宿り。

「ふ……そうだね、ごめん」

「っ」


そっと伸びてくる。
手が、優しく私の頭の上に置かれて。


「普通にかわいくて、笑っただけ」

「……え……っ?」


なに、これ。
な、なん、なんて言ったの?

雪杜くん、今、なんて。


「………っ!?」


爆発したみたいに、雪杜くんの顔が赤くなる。
え、無意識……で、言った?
本当は、私のこと、か、か、かわいいって思ってくれてた……?


「雪杜くん」

「なんでもない」

「雪杜くん」

「帰る」


強引に先を行こうとする雪杜くんの腕を必死につかんで離さない。
下を向いていても、耳まで赤いのが見える。

ああもう、好きだよ……。

本当は、もっとたくさん、何度だって言って欲しいけど、我慢してあげる。