「カノ、お前どこ行きたい?」

「えっ」


隣に座っていた信濃くんがずいっと距離を縮めてきて、ついのけぞった。


「…そんなあからさまに避けるなって」

「避け、ってない!! よ!!」


未だにお化け屋敷で言われたことをちょっと気にしてしまっている。
告白……ってやつ。

なんだかうやむやにしたまま今日まで過ごしてきてたけど
あれってまだ、継続してる……?


なかったことになんか、なるわけないですよね。

どうして人がせっかく向けてくれた気持ちを私が勝手になかったことにできましょうか。


「いや、ない」

「反語ブームか? カノ」

「環くんはなにも悩みがなさそうで羨ましいよ……」

「バーカ、毎日作品と向き合って頭抱えとるわ」


そう。この遊園地に行ったメンバーで修学旅行中の行動を共にします。

私たちの学校では、自由行動の班はクラス関係なく決めていいのだとか。
なので違うクラスの信濃くんも同じ班になっているのだけど……。

どうしてこの中に雪杜くんがいないんでしょうか。

一週間も雪杜くんと離れるなんて耐えられない……うう……。


「はなの、雪杜と連絡先の交換はしたんでしょ?」

「え、うん」

「え、すげえ」

「まじかよ」