春に笑って、君宿り。

「……あらかた片付いたし、早く行きなよ」

「え、あ」

「友達、待たせてるんでしょ」

「う、うん」


ほとんどゴミをまとめてくれたのは雪杜くん。
手際もいいとか、素敵な旦那さんになりそうだね?


「雪杜くん……」


もう少し、あと少し。
一緒にいたいのに、な。


「……別に、また明日、会えるでしょ」

「!!」


ただ笑ってくれたらいいって思ってたのに、どんどん欲しがっちゃう。

これは、新しいワガママなんだけどね。

あのね。

本当は、君のその笑顔の理由に私が含まれて欲しいなって。
君の笑顔を見るだけじゃなくて、

君を笑顔にするのが私だったらいいなって。

……私でありたいなって。


「うん、ありがとう。また明日ね!!」


再びゴミ箱を持ち上げて、走り出す。

少し走って曲がり角。を曲がる前に振り返った。