春に笑って、君宿り。

***

放課後。

無事にコンビニでいい感じのタオルをゲット。

ほんと、お金足りてよかった。
バス代は……ギリ足りなさそうかも。
帰りは歩くしかないかなあ。


「…ふふ」


……考えてみた。
タオルを買って行けば、信濃くんの力になれる。
しかも彼の部活中の姿が拝めちゃうなんて一石二鳥。

結果オーライ。
今日も調子いいね、私。


「……ん?」


学校へ向かう途中、川沿いの土手で目にしたもの。

春。4月。

それでも夕方の風は肌寒い。


そんな季節に川の中に、黒いパーカーを着た男の子が立っていた。

見間違い?

……そんなわけない。

どうしよう、少し遠くて何をしてるのかわからない。
困ってる?
手助け、必要そう?


私は歩を進めてその男の子をじっと見つめる。


同い年くらいに見えるその男の子は、ゆっくりと川岸に向かっていく。

何かを抱えているみたいだけど……。