春に笑って、君宿り。

「……気にしなくていいから」

「え?」

「さっきの奴らの言ってることも、質問も、視線も」

「あ……」


やっぱり聞こえてた、よね。
どこが好きか答えられなくてごめんね。

でも、全部っても言えなかったの。

簡単に「全部好き」って言えるほど、私は雪杜くんのことわからないから。


「あと、友達って……言ったよね、昨日」

「え」

「まさか、もう忘れたわけ。だいたいあんたから聞いてきたんだけど? それに友達の距離感考えてって言ったよね」

「……」


そんな、耳まで赤くして言われたって。

ああもう、かわいいな、好きだな。


「っだからそれやめて」

「あ」


またも雪杜くんの頭に手が伸びるのを、パシッとつかまれて阻止されてしまった。
そういえば髪の毛、さらさらで気持ちよかったな。


「好き」

「本気じゃないくせに」

「本当だもん」

「……はあ…」