春に笑って、君宿り。

テストでいい点数はとれない私にでも分かる。
今までの恋なんかと比べものにならないくらい、気持ちが動くんだよ。

……ううん、これが本当の恋なら、今までのは恋じゃない。


つまりね。
これが私の初恋ってことだよ。

テストに出るので、しっかり復習しておくこと!!


「え、先輩と雪杜、付き合ってる、んですか……?」

「違……っ」

「ううん、付き合ってないよ。私が一方的に好きなだけ」

「っ」


にこっと笑って質問に答えてあげる。
どっちかというと私の方が恥ずかしいこと言ってるはずだけど、周りの男子の方が顔を赤くしちゃった。


「……何しに来たの」

「あ」


なでなでしていた手をつかまれ、こちらも少し顔を赤めた好きな人。
何しに来たって、そんなの雪杜くんに会いに来たに決まって……


「……はっ!!」


そうだ、ゴミ捨て!!
萌ちゃんと乃奈香ちゃんも待たせてるんだった!!

私と共に来たゴミ箱は!? だいぶ乱暴に投げ捨ててきた気がっ!!

ゴミ箱の方を見やれば、なにやら倒れている物体と、周りに散らばる様々なゴミ達。

サーッと顔が青冷めていくのを感じて、そして固まった。
思考停止というのはこういう時とても都合のいい機能ですね?