春に笑って、君宿り。

階段を降りて、角を曲がり
1年生の教室に繋がる廊下につく。

……この間はここを通ろうとして、雪杜くんが現れてくれたんだっけ。

そんなの誰だって運命感じちゃうよね。


「……どうしたって、なにが」

「!!」


放課後、仲良くなってきた友達との時間を惜しむみたいに
帰らずにがやがやとしているいろんな子の声の中から聞こえた。

やっぱり私は君の声も大好きみたいだ。

いつもだったら真っ先に駆け寄るのに、今は壁際に立って。
なんなら持っていたゴミ箱に隠れてしまっている。

あー、何やってるんだろう私。

ちらっと覗き混めば、ちょっと遠くの方で数人に囲まれている雪杜くんの姿が見えた。
その中にはしっかりと女子もいて、昨日感じたもやもやがよみがえって。


「だから、その顔の傷だよー」

「またケンカでもしたのかよ?」

「……別に、関係ないだろ」


顔の、傷。
それは多分というか間違いなく、私が昨日つけちゃった傷。
何がラッキーアイテムだ。

とか思いながら今日も懲りずにラッキーアイテムのブレスレットをつけてきちゃってる素直な私なんです。


「でも顔に絆創膏っていうのもかっこいい!!」


女の子がほうっと顔を赤らめて雪杜くんを見つめてそんなことを言った。