春に笑って、君宿り。

「大丈夫かよ」

「……う、ん……」


腕を強くつかまれ、転ばずに済んだ。
え、さっきのってやっぱり幻聴じゃ、ないですよね?


「……信じてもらえないとは思うけど、今度こそちゃんとカノを大事にしたいって思った」

「……」


信じるとか、信じないとかじゃなくて。
それに、付き合ってた時だって十分大切にしてくれたよ?


「で、でも今、私雪杜くんのことが……」

「……」


今だって会いたくてたまらない人がいるの。
また笑って欲しい人がいるの。


「カノとユキメ後輩の関係ってさ、友達なんじゃないの? カノの気持ちだって友達に対する『好き』と勘違いしてるだけじゃねえ?」

「……え?」


ともだち。


知り合ってまだそんなに日は過ぎてない。
でもたくさん話をしてきた。

その中で何度も距離感について注意されてきたことが頭をよぎる。

友達。

知り合いというには近くて
恋人というには遠くて。

……今はまだ、友達……なのかも知れない。