春に笑って、君宿り。

ガツンと頭を殴られたような感覚。
いや、これじゃあショック受けてるみたいじゃないか。

違うでしょ。別にただびっくりしただけだから。

ショックとか、ほんとに笑えないから。


友達?


知り合い、なんて関係でもない。

付き合ってるわけでも、もちろんない。

じゃあ、その言葉が俺たちの関係に一番妥当なんじゃない。


「……」


体の中の何かがすっと下がっていく。


「そう、なんじゃない」


というか、その聞き方なんなの?
最初からあんたの「好き」に本当の意味なんて込められていなかったはずで
それは俺も分かっていたはずで。

だいたい、あんたにふさわしい人は周りにたくさんいるじゃないか。
年下の俺なんかより、もっとずっと、いい人が。

今日だって何度も思った。

さすが幼なじみで、あんたのことをきちんと理解してくれるタマキ先輩だっている。
きっとあの調子なら、トーガ先輩だって改心してあんたと向き合ってくれるよ。


「……あ、雪杜くん」

「なに」


何か気付いたように俺の顔にそっと手を伸ばす。