春に笑って、君宿り。

「昨日ね、お泊まり会をしてたんだけど、すごく楽しそうに雪杜くんの話をしてたよ。今までもその時付き合っていた彼氏さんの話はたくさんしてくれていたんだけど、内容が全然違うというか」

「そりゃ、俺とあの人はまだ付き合ってませんからね」


まだってなんだよ。
あの人のことになると、調子が狂う。


「うーんと、彼氏さんの為に『ああしなきゃ、こうしなきゃ』っていう内容がほとんどだったんだ。……ほら、あんまりいい関係とは言えなかったから」

「……」


あの人、本当に歴代彼氏にパシリにされてたんだな。
というかそれって本当に「付き合ってた」って言えるわけ……?

次々と疑問点が浮かぶ中、小池先輩の言葉に耳を傾け続ける。


「昨日の夜はね、はやく雪杜くんに会いたがってた」

「……そ、う、ですか」


なんとなく、想像がついてしまうのが悔しい。
結果遊園地の入り口で真っ先に飛びついて来たわけだし。

そんなに焦らなくたって、いつもあんたから駆け寄ってこなくたって、
ちゃんと俺からそっちに行くのに。


「……???」


待って。
ストップ。

俺からそっちに行くって、なに?

さっきから自分の思考回路が、急上昇急降下、急旋回。

……ジェットコースターかよ。


ほんと、調子狂いっぱなし。