春に笑って、君宿り。

……これ、直るのかな。


「あの、私小池って言います……」

「知ってますけど」

「えっと、趣味は絵を描くことと、少女漫画を読むことです」

「……はあ」


急に自己紹介始まったんですけど。
一番まともそうだと思ってたんですけど。
まさか、この人も人の話聞かない暴走系?


「……雪杜くん!!」

「は、い」


いや、急に大きい声出さないでくれますか。びっくりするんで。


「カノちゃん、どうですか!?」

「は!?」


急に何言い出すわけ!?
なんでここであの人の名前が出てくるわけ!?

少し大きな声を出してしまったせいで、小池先輩の体がびくっと跳ねる。


「あ、すみません、大きな声出しました……」

「……」


俺がとっさに謝ると、今度は何か不思議なものでも見るかのように、じっと俺を見つめてきた。
何、そんなに俺が謝るのが珍しいわけ?
そんなに謝らなさそうに見える?

勝手な憶測で少し苛ついた。

決めつける人が大嫌いなのに、いつの間にか自分も同じ事をしているのに気付く。