春に笑って、君宿り。

変わらない笑顔で駆け寄ってくる。

あまりにも勢いがすごいから、
つい両手を広げて彼女を受け止める準備をしてしまう。

言っておくけど、階段から降ってくるとか軽くトラウマになったから。

まああれだけ言ったわけだし、さすがに今度も飛びついてくることはないだろうけど。


……あれ、勢いが全然。
ちょ、そろそろ減速しないとまた……っ。


「っ」


結局彼女は変わらず飛びついて
俺はそれを受け止める形になる。

ねえ、2年生は人の話を聞かない人ばかりなわけ?
ねえ?


「一緒にコーヒーカップに乗ろうよっ!!」


あれだけ言っただろう。
危ないって。

俺が受け止めらんなかったらどうするの?
怪我でもしたらどうするの?

それに仮にも女子なんだから、もう少し距離感、分かってほしいんだけど。


「……」

「どうしたの、雪杜くん?」


まあ、多分。
この人にとって俺はただの後輩だから、こんなことも平気でできるんだろうな。

タマキ先輩から聞く限り、今まで何人かの男から告白されて付き合ってきたんでしょ?
さぞ経験もたくさん重ねてきたんだろうね。