ハッとしたように、タマキ先輩から統河と呼ばれていた人が俺を見る。
あ、結局買うんですかそのカチューシャ。


「思い出したわ。お前昨日のタオルじゃん」

「……今更ですか。あとタオルじゃなくて、」


名前は知らなくても、顔くらい覚えていて欲しいところだ。


「雪杜 奈冷です。あなたのせいで色々巻き込まれたんで責任とって下さいね」


昨日、帰りにタマキ先輩からあの人の話を聞いた。
……別に、俺から聞いた訳じゃない。勝手に話し始めたから聞いてただけだけど。

この人にパシリにされて、放課後にタオルを買いに行った。
多分俺があの人と出会ったのは、そのタオルを買って学校に戻る途中だったんだろう。

制服だったし、同じ学校なのはすぐにわかった。
胸元に2年生のバッジもついていたし、教室に行ってそっと返したらいいかと思って登校した朝。

なんと迷惑なことに玄関先で、修羅場。

どさくさに紛れてタオルも返したし、もう俺には関係ないと思って教室に入った。
……のに。


放課後になって帰ろうとしたら階段から降ってくるし
ろくに話したこともないのに「好き」って言ってくるし
やたらとベタベタ触ってくるし


はっきり言って


超絶

迷惑。


それもこれも全部、元はといえばあなたのせいなんですからね???


ビキビキと顔が引きつる。