*奈冷side*

ひっきりなしに流れ続けるBGM。
ごうごうと鳴るアトラクション。
そのアトラクションから響く人の叫び声。


「ねえねえっ、何に乗る!?」

「やっぱ最初はジェットコースターでしょ!!」

「わ、私ちょっと怖いな~……」

「あ、見て!! ああいうぬいぐるみほしいなあ~!!」

「確かに、はなのに似てるしね」

「私あんなに可愛い?」

「はいー、調子乗らないー」


楽しそうに少し先の方ではしゃぐ女子3人。
と。


「統河、このカチューシャお前に似合うんじゃね?」

「お前の芸術センスが注目されてる理由がわかんねーよ、世も末だな」

「この俺のセンスがわからないからお前はクズなんだよ」

「どいつもこいつもクズクズうるせーな……」


なんか色々あった男子2人、と、何故か俺。


「はあ……」


何ッッッで俺がこんなところにこんな人たちといるわけ!?
帰りたい。
今すぐに帰りたい。
どんな手段を使ってでも帰りたい。


「言っとくけど、帰さねえからな?」

「っ」


タマキ先輩には俺の心の声が聞こえてるのか。
昨日だって、用事があるととっさについた嘘も見抜かれてしまった。