春に笑って、君宿り。

「脅す」

「へえ……えっ!?」

「脅す!?」


私たちの反応を見て、ニッと不敵に笑って。


「なんのために私がモデルやってると思ってんの?」



……昨日のことを思い出して、一体どんな脅され方をしたんだろうと
少し信濃くんがかわいそうに感じていたとき。


「……あんたってさ」

「え……?」


隣から
こぼれ落ちるような声。


「……いや、なんでもない」


淡い青の隙間から覗く紺色が揺れる。

なんでもないって言われちゃった。
何かを話そうと思って、途中でやめちゃうことってあるよね。

私に何かを話そうとしてくれたのが、今は嬉しいよ。

大好きだよ、雪杜くん。


「今日、来てくれてありがとう」

「……タマキ先輩に無理矢理連れて来られただけ」

「え、やっぱり一緒に来たの!?」

「う、うん、そうだけど、なに」