春に笑って、君宿り。

「……っだから、何で毎回急に飛びついてくるわけ!? 危ないし、なにもこんなことしなくたって」

「おはよう雪杜くん!!」


はじめてのおはよう。

爽やかないい匂いがふわっと鼻をかすめる。
心地のいい声がすぐ近くで聞こえる。
怒ってるのか恥ずかしがってるのかよくわからない顔で私を見る。

ああもう。


「今日も大好き!!」

「……笑えない冗談」


ほら。
笑えないのにフッて微笑むのはずるいよ。
かっこいいよ、雪杜くん。


「カノさーん? 隣に俺もいるんですが?」

「あ、おはよう環くん!!」

「ちょ、腕組むのやめてくれる!?」


あは、どさくさに紛れて腕組んじゃえ作戦(そのまんま)失敗かあ。


「あんたってなんでそう、距離感バグってんの、神経疑う」

「ご、ごめんなさいっ」


グサリと刺さるお言葉により、あっさり雪杜くんの腕を離す。
嫌だったかな、嫌だったよねきっと、うう。

そりゃ、雪杜くんからしたらついこの間会った1つ年上のただの先輩、だもんね。
彼女でもないのにこんなにべたべたされたらやっぱり嫌だよね。

うう、反省……。