春に笑って、君宿り。

それでもこうやってまた話せた。
遊園地に来てくれた。


「うん、私の方こそ、ごめんっ」


もう言ってることと表情がばらばらだ。
信濃くんに謝るのはもう慣れっこだったはずなのに、初めて笑ってごめんと言った。

不思議だね。
付き合ってるとき以上に、信濃くんとずっと近づけた気がする。


「よかった、これで仲直りだね、カノちゃん」


乃奈香ちゃんがぎゅっと私の手を握った。
口数は少ないけど、乃奈香ちゃんも随分心配してくれていたみたい。


「うん、あとはあの二人が来たらスタートできるんだけど、おっそいな」


萌ちゃんが腕時計をにらみつける。
雪杜くんと環くん。
昨日はあの後二人で一緒に帰って行ったけど、少し仲良くなれたかな。

私としては男子とじゃれている雪杜くんの姿も見たいので、今日の遊園地デートもすごく楽しみなんだけど……!!

それにしても昨日、環くんにずっといじられてた雪杜くん、可愛かったな~。

あ、そういえば雪杜くんは何の乗り物が好きなのかな。
昨日は別に苦手じゃないって言ってたけど、一緒に乗ってくれるかな。

アイスとか、あーんとか……しちゃっていいかな!?
というか食べてくれるかな。

「は?」って言われて引かれちゃうかな。

もんもんと妄想を膨らませていると。


「……カノ」

「ん? なあに、信濃くん」