春に笑って、君宿り。

「ほら、早くはなのに謝って」

自分より遙かに身長が高い男性から睨まれても、全然なんともない風に萌ちゃんがぴしゃりと言い放つ。

……というか、え、なんて?


「あんたがクズなのはもう分かってる。そのうえで無理せず仲良くやっていきたいっていうのがあたしらの決断」

「うんうんっ」

「……」


確かに、昨日のお泊まりで信濃くんも呼ぼうって話になった。
このままばいばいするのはさすがに悲しいし、できればみんなで仲良くしていきたいよねって。

でも。


「ふ、二人とも、私は別に謝って欲しい訳じゃないし、そもそも私が……」

「謝って」

「っ」


今までに無い真面目な表情、強い口調。

そんな萌ちゃんの一言に、信濃くんはやっと私の方を向いてくれた。


「…し、なのくん」

「ごめん」


ぶっきらぼうな言い方。
ぽいって投げるような言い方。
心なんてこもってるわけがないのはさすがにわかった。


「……ふふ、」

「?」