春に笑って、君宿り。

「萌ちゃん、乃奈香ちゃん、環くん！！」


私は驚いて、3人の元へ駆け寄る。

え、え、どうして？
環くんはご近所さんだから分かるけど、萌ちゃんと乃奈香ちゃんは家が反対方向のはず……！！


「どうしたの！？　忘れ物？」

「誰がどうやってお前の家に忘れ物すんだよ」

「あは」


環くんに軽くデコピンをされ、わざとらしくよろめいた。


「はなの、さっきはごめんね」

「……え？」


さっき？……と言われて思い出そうとしても。

びっくりするくらい脳内には雪杜くんしかいない。
まずい、私今日みんなと何話したっけ？


「私たち、あのあとみんなで反省したんだ」

「反省……？」


うっ。
思い出せない。

私の記憶メモリーの許容量がとんでもなく少ないことが今わかった。大発見。


「……あ」


乃奈香ちゃんが、雪杜くんの姿を見て少し肩を揺らした。
森ガールに雪杜くんの目つきはちょっと怖く映ってしまうのかもしれない。