春に笑って、君宿り。

「えへへ、ごめんなさい」

「別に謝らなくていいけど」

「つい幸せで」

「はあ?」


なんてことないのに幸せ感じるのってやっぱりおかしい?
今まで感じたことのない幸せを雪杜くんと共有したいと思うのは、ワガママ?


「……そういえば、あんたの家ってまだ先なの」


う。

せっかく脳内お花畑になっていたのに、雪杜くんの言葉で一気に現実に引き戻されてしまった。

雪杜くんの周りにぽわぽわと咲いていた花たちはパッと消えてしまって
代わりに見慣れた住宅街が視界に映った。


「あ、もう少し行った先……」


そう、この先をまっすぐ行った先に私の家がある、んだけど。


「? どうしたの」

「いや、あの」


見慣れた人影が、3人。

あれ? 見間違い?


「あ、やっと帰ってきた!! はなの~!!」


3人のうち、スタイルが抜群の女の子がこっちに向かって手を振った。
あれ?
見間違いじゃなかったみたい。