「ほら、泣き止んだなら帰ろう」


荷物を持って、先を歩こうとする雪杜くん。


「あ、あの、雪杜くん」

「ん?」


ん?って振り返るのずるい。
なんかもう全部がかっこよくて、かわいくて、目の前で話して動く全部の君が好きだよ。


「だ、だいすき……!!」

「……ふ……っ」


私の言葉を聞いて。
少しだけ目を丸くして。

そして、ほんの少しだけ口角をあげて笑う。

昨日みたいに満開の笑顔ではなかったけど、それでも君が笑うとこんなに嬉しい。

全部好き。
でも、間違いなく君の笑顔が一番好き。

私は多分、じゃなくて絶対。
昨日のあの笑顔に一目惚れしたんだ。


「笑えない冗談」


桜舞うこの季節。

春に笑った、君に恋した私の物語。