茶色く染められた長めの髪の毛が、窓から入ってくる風に揺れている。
色相 環くん。
彼は私の幼なじみで、芸術センスに長けているちょっとした有名人だ。
「カノ」
「んー?」
「お前さ、まだあいつと付き合ってんの?」
鞄から机に教科書を移動させている手を止める。
「え? うん」
「……そっか」
私の答えを聞くと、少し怒ったような悩んでいるような。
少しだけ低い声になって呟いた。
「環くん、そんなに心配?」
「心配に決まってんだろ」
即答。
何よ、確かに前の恋愛はちょっとはりきりすぎて失敗しちゃったけどさっ。
「そんなに心配しなくたって、ちゃんと仲良くしてるよ?」
「……仲良く、ねえ」
私には今、付き合っている人がいる。
1年生の冬に告白されてお付き合いが始まった。
相手は誰もが知るイケメンで、私なんかが釣り合うはずないって思ってたけど。



