春に笑って、君宿り。


「いや、待って、本当に意味がわからないんだけど」


そんなの私だってわかんないよ。
私から告白した事なんてないんだもん。
初めてのことで自分でもわかってないんだもん。

ただ会いたくて会いに来た。そしたらここに雪杜くんが来た。

……やっぱり運命だね? 少女漫画みたい。


「会いたかった、私雪杜くんに会いたかった!!」

「……は?」

「雪杜くんが好きって言いたかった!!」

「……ちょ、まって。あと、落ち着いて」


そっと立ち上がって「とりあえず場所を変えよう」と呟く。
それから、私に向かって手を差し伸べてくれた。ほら優しい。


「あ、ありがとう」


その手に掴まって、ぐっと立ち上がる。
手に触れたの、これで2回目だ。

ぽっと体が熱くなる。


「ちょっと」

「え?」

「手、離して」

「あ、ご、ごめん」

「別に、謝ってほしいわけじゃないんだけど」


立ってからもずっと手は繋いだままだった。
なんとなく離したくなくて。えへへ。