春に笑って、君宿り。

会ったら何を話そう?
なんて言おう?

さっきぶり? 今日もかっこいいね?

うーん、どれも言いたいけど、しっくりくる言葉がないな。


あと数段、階段を降りた先の角を曲がれば、1年生の教室へ続く廊下だ。

その残り数段すらもどかしくて、飛び降りる。


「……あ」


運良く角から姿を現した、もはや見慣れた男の子。

わあ、やっぱり運命なのかな?


「な……っ!?」


私はそのまま両手を伸ばして、迷いなく飛びつく。

だって君が慌てて両手を広げてくれたから。

ほらね、悪い人なんかじゃない。


――ドサッ……


重くて鈍い音が廊下に響く。

バッチリ受け止めてくれた君は、目をまん丸にして私を見ていた。

こんな顔もするんだね?
写真撮っていいですか?