春に笑って、君宿り。

***

足を進めれば進めるほど
環くんの作品たちがいろんな表情で私たちを迎え入れてくれた。

絵やオブジェだけでなく
陶器やガラスの作品まで出てくる。

今までも環くんの展示会に来たことはあるけど、
絵以外の作品が並んでいるのは初めて。


「……環くんの頭の中って、どうなってるんだろう」

「俺もそう思う。尊敬はしてたけど、ほんとに天才」

「……」

「……なに?」

「雪杜くんって、本当に環くんになついてるよね」

「な、っ」


かあっと顔を赤らめる雪杜くん。
ああ何度見てもかわいい。

今度写真撮らせてもらお……。


「花壱先輩といい、人を犬みたいに言うのやめて」

「……」

「無言で頭撫でないでくれる」


ちょっと不機嫌そうな声だけど、そこまで嫌じゃなさそうだから余計かわいいし
もっといじわるしたくなっちゃうんだよね。

えへへ、付き合ってからもいろんな雪杜くんと出会えて楽しいな。


「花暖先輩」

「え?」