春に笑って、君宿り。

「カノちゃん、行こっ!!」

「しゅつじーん!!」


乃奈香ちゃんと萌ちゃんに手を引かれ、美術館に足を踏み入れる。

……今日は、環くんの作品の展示会だ。


正確に言えば、展示会公開の前日。
環くんが私たちを招待してくれて、今日はなんと私たちだけの貸し切りなんだとか。

ほんと、改めて環くんのすごさを実感する。


「わあああ!!」


美術館だけど、大声だって出していい。
だって貸し切りなんだもん。


中にはたくさんの、環くんの魂が込められた絵が展示されていた。

絵だけじゃなくて、オブジェもあちこちに飾られている。


「お、来たな!!」


奥の方で笑顔を浮かべている環くんを見つけて、みんなで駆け寄った。

今日の環くんはなんだかすごく大人びて見えるなあ。


「環くん、今日はありがとう!!」


たくさんの人に公開される前に私たちが拝めちゃうなんて、
いくら幼なじみって言っても申し訳なさを感じてしまう。


「ゆっくり見てって。ラストにめっちゃ力入れたから」