春に笑って、君宿り。

「はあ~~~……っ」


特大ため息なんてついて、なんだかすっごく不機嫌そう。


「し、信濃くん、おはよう……?」

「朝から好きな子がいちゃついてんの見させられるって何の拷問だよクソ」

「えっ!?」


顔が真っ赤になってつい雪杜くんを見てしまう。
雪杜くんは全く動じていない様子で……
というよりむしろ、勝ち誇った顔してる!?


「まァじで、ユキメ後輩に負けたと思うと死んでも死にきれん」

「そういうとこだと思いますけど」

「あー?」


2人は顔を合わせると、いつもこんな感じでバチバチとにらみ合ってしまう。
連絡先は交換したみたいだから、仲良くなってるはずなんだけどなあ。


「あんたら、犬じゃないんだから、出くわす度にそうケンカしない」

「犬!?」

「せめてオオカミ!!」

「ガキにはなのはあげないって言ってんの。それ以上ギャーギャーわめくなら帰りにスイパラでおごってもらうから」

「「……」」


さすが萌ちゃん。
2人の間に入ってケンカをあっさり止めてしまった。

……雪杜くんが、犬……。

ぽわぽわと想像してちょっといいかもと思ってしまう。