優しく触れるように唇を重ねて

少ししてそっと離した。


「……」

「……」

「ゆ、ゆきもりくん、顔真っ赤……」

「うるさい、先輩だって人のこと言えないよ」


2人でむっとして

それで、笑った。


いつかもっと時間が経って
もっとキスだって自然になって

もっと触れたいと思うときが来るんだろう。


その時が早く来て欲しいかといわれると
案外そうでもなくて。


こんな触れるだけの、一瞬のキスで頭が塗りつぶされるくらい幸せを感じられる。

そうやって、ほんのわずかな時間をいつまでも愛しく感じていたい。


「雪杜くん、大好き!!」

「うん、俺も」


ゆっくりと今を積み重ねたい。

俺という存在がいなかった君の過去に負けないように。


初めて好きになった人だから。